プロフィール

第一章 始まり

当時の私は中堅私立大学に通う普通の20才の大学生でした。

特に何がやりたいわけでもなく
大学も滑り止めで受かった大学で
将来設計もせずに入学したため
講義にも意欲的ではなかったです。

時の過ぎるままに毎日を過ごしていましたが、
裕福な家庭で育ち、
その時お付き合いしていた人の家に
居候していたので、
それなりに幸せでした。

「こんな毎日が続けば良いのに。」

そんな風に思った矢先のことでした。

突然彼女から別れを告げられます。
(理由はその時は伏せられてましたが、後日浮気されていたことが判明)

悲しみに暮れ、
彼女のことを忘れようと必死で感情を殺し、
暫く抜け殻のように生きていました。

そんな時に優しく励ましてくれたのは
彼女を通して知り合った兄のように慕って
尊敬していたAさんでした。
心が弱く、落ち込んでいた私を
励ましてくれて、前向きな気持ちにしてくれました。

そんなタイミングで友人を通じて、とても興味をそそられる話が舞い込んできました。

内容は起業系のスクールのようなもので、
1期生の募集をしているとのことでした。
その友人に誘われたわけではないのですが、
子供の頃から漠然と
「社長になりたい」
という夢があり、
会社の設立に携われるなら
願ってもないチャンスだと思い、
私もコンサルティングを受けることにしました。

「嫌なことがあった分良いことが有った!」

と、毎日とてもワクワクしていました。

第二章 決断

コンサルティング費用は100万円でした。
1年間専属で1人付いてくれるので、
相場的には妥当なものかと思っていました。

しかし、ただの大学生の私には、
もちろんそんな費用を持ち合わせていません。

それでもお金のやりくりの仕方も
教えてくれるとのことでしたので、
消費者金融で100万円借りました。

人のことを疑うことを知らない私は

「なにかあっても契約書交わしてるし、親友もいるから大丈夫だろう」

と、その会社の人の言う通りに動きました。

まずは資金作りから始まります。

お金のやりくりの仕方を教えてくれる約束でしたので、やり方を教わります。

  • クレジットカードのショッピング枠の現金化
  • 学生ローン
  • スマホのMNP(乗り換え)で稼ぐ

たしかに、高い金利を払い続けるよりも効果的で
MNPに関しては過去に経験もあったので、

「100万円くらいなら大丈夫か。」

という気持ちになっていました。

その後、
店舗の経営を体験する目的で
バーを1日貸し切って、
友人を招いて運営したりもしました。

バーの費用は会社持ちとのことでしたが、
結局その日の売上から引かれて利益ほぼ0でした。

その後、名刺作りやHP作りにも着手し始め、
講義やセミナーもあって、

「サポートもしっかりしてるなぁ。」

なんて思っていました。

第三章 異変

契約から1ヶ月が経った頃、
担当していた人が忙しいらしく、
中々会ってもらえなくなりました。

支払いの期日も近くなり、
色々と相談したい事があったのですが、
そんなタイミングでその会社の担当とは
別の人から電話があり、緊急招集。

カフェで待ち合わせていたので、
合流すると、
かなり重たい表情…。

嫌な予感しかしないが、何があったか聞いてみると

「借りていたバーの絵画が壊れたから弁償しろ。」

という内容でした。金額は30万円でした。

どうやら私が借りていたということで
私に請求が来るとのこと。

そのバーのオーナーへと電話を取り次ぐ事となり、
電話を代わると、かなりのぶちギレ。
それを聞いた私は恐怖で震えてしまい、
声も出ませんでした。

仕方なく払うしかないと思ったが、
払うお金も借りるお金もない。

そこで、ショッピング枠で買ったものを
現金化してもらう約束と、
分割を組んだiphone6台を
売りに出してくれていたのを
思い出しました。

既に物は会社の人に預けていたので

「その分でどうにかしてほしい」

と伝えたところ、
そんなもの受け取っていないと言われ、
友人でも連れてこいと言われ、
その場で電話をかけさせられました。

ここでようやく騙されていることを悟り、
わざと使っていない番号にかけたりしましたが、
恐怖に負け、結局Aさんを頼ることに。

Aさんは”何かおかしい”と察してくれたみたいで、
すぐに駆けつけてくれました。

そして事情を説明したところ

「お金を降ろしてくるからATMに行ってくる」

と言って、私と共にカフェを出て、
そのままその場から逃げ出しました。

Aさんは危ないからと言って、
一旦身分証を預かると言うので、
Aさんが言うなら
その通りにした方が良いと思い、
免許証や保険証を預けました。

そしてスマホの電源を切り、車で逃げた後、
Aさんの家で1日お世話になりました。

その後、友人も一緒にやっていたので、
その事を伝えて直ぐに引いた方がいい
と伝えたところ時既に遅し。
その友人も会社にお金を
持ち逃げされたとのことでした。

そんなことがあり、
私には借金と恐怖だけが残り、
泣き寝入りしました。

第四章 非日常

Aさんの家で1日お世話になった後、
大学にも行かないといけないので、
大学に行きながら
アルバイト多めの日々が始まりました。

時間があれば、
とにかくバイトを入れてましたが、
全く返済の目処が立たず。

それもそのはず。
アルバイトで10万円稼いでも、
携帯代で月5万円、
定期代や生活費で最低でも4万円、
借金の返済に充てられるほど
残りませんでした。

このままではダメだと思い、
昼は飲食店、夜は居酒屋で
ダブルワークをすることに。

それから2週間程経った頃、
Aさんの家に招かれたので、
泊まりに行った時の事。

Aさんは私に、「大変そうだから」と言って、

「売ったら軽く50万円以上にはなるから持っていきな。」

とブランド物等たくさんの物を袋に摘めてくれました。

なぜそこまでしてくれるのか聞くと、
私のことが「本当の弟みたいだから」
と言って可愛がってくれました。

その帰り道、
Aさんの家に祖父の形見の大事な時計(ROLEX)を
忘れてきたことに気付き、
連絡するも、どこにもないとのこと。

帰り道を戻りながら探し続けるも発見できず。

仕方がないので、
失くしたものは戻らないと思い、
諦めました。

第五章 信用と疑念


家に帰った後貰ったものを売って
お金にしようと思ったのですが、
なにかがおかしい。

全部使い古しのようなものばかり。

「あれ?これお金にならなくない?」

と思い、再度Aさんに連絡。

すると・・・

「それ、あげた訳じゃないからちゃんと代金払ってね。」

「?」

何を言われたのか理解出来ませんでした。

でもAさんが言うんだから間違いないはず

「それだけ価値があるものなのに、自分が売り方が分からないだけか!」

と勝手に納得して、
また別の日に売り方を聞きに行くことにしました。

物を持っていき、説明してもらう。

納得出来なければ返せばいいや。
と思ったのですが、
その日は時間があまり無いらしく、
説明だけということで、
会って軽く説明をもらいました。

「価値を分かっていないだけだから。」

とかわされてしまったが、
心から信用していたので、
自分のために考えてくれたんだ
と思っていました。

そこで、
もう1度調べてみても
やはり値段がつかなそうで
よく分からなかったので、
返すことにしました。

今度返せばいいか。
と思っていたら、丁度電話が来ました。

「時計あったけど、身分証と一緒に担保として預かっておくから。合計60万で、月10万ね。同意してるんだから返すとか無いから。」

ここまで言われても
Aさんを疑いたくない、信じたい、
そして裏切られたくない。

頭ではまた騙されたんだ。
と分かっていても
感情が追い付いてきません。

好きな人に、会社に、信用していた人に騙され、
自分の事が大嫌いで仕方が無かったです。
ここで私の精神がやられてしまい、
自暴自棄になりました。

第六章 心と身体

精神の限界を超え、人と話をする
ことすら出来なくなりました。
情緒も不安定で感情のコントロールが効きません。
こんな状態で外には出られなかったので、
少しの間アルバイトを無断で休み、
大学に行かず、スマホも開かず、返済もせず、
家に引きこもって自分を責め続けました。

ストレスで蕁麻疹、アレルギー反応、
睡眠障害、嘔吐等、体にも影響が出始めました。

それでも働かなくては食事も出来ないので、
無理やり自分を取り繕って
無断欠勤したことをアルバイト先に謝罪し、
ひたすら働きました。

1人になると嫌なことしか考えられなくて、
塞ぎ込んでしまうことが分かっていたので、
なるべく家には寝る為だけに帰るようにしました。

きっと鬱状態だったかと思いますが、
病院に行くお金も時間も無かったので、
病院には行かず、
大学は週3しか行かず、
それ以外の時間は
ほとんどアルバイトをしていました。

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当時の借金額と返済額

スクロールできます
内容内訳返済
A社50万円1万円/月
B社50万円1万円/月
C社10万円1万円/月
学生ローン30万円1万円/月
ショッピングローン30万円
携帯代月4,000×6台分+iphone×6台分(月4,000(2年分割)×6台分)5万円/月
Aさん60万円10万円/月

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最初の2か月程は精神状態があまりに悪く、
正常に物事を判断できない状態だった為、
脳死で働いて返済していました。

3か月目に入り、
この生活に慣れてきたのか
精神も安定してきました。

途中、
過労死しかけたり(玄関で一日以上気絶)しましたが、
どうにか我を取り戻しました。

そこで、まずは警察にこれらのことについて相談してみることに。

結果、
話は聞いてもらったが、
警察では取り合ってもらえず。

それどころか話している最中、
いきなり机に拳を叩きつけて
「親不孝だ」
などと罵られました。

心配や迷惑をかけたくないので、
親には内緒にしてくれと言ったのに、
親に連絡され、それまで隠していた
借金のことがバレてしまいました。

この瞬間、
私は死を覚悟しました。

しかし、
意思が弱かったために思い留まり、
人生を一度諦めようと思いました。

第七章 希望

翌日、家に突然両親揃って来たので、
このことについて話し合うことになりました。

ずっと一人で抱え込んでいたので、
話している最中
涙が止まらなかったことを記憶しています。

怒られるのか?
それとも呆れられるのか?
どっちかと思いきや、
警察からは深く話をされなかったようで、

「犯罪を犯してなくて良かった。」

とだけ言ってくれました。

その後、一時間ほど話し合い、以下の三つが決まりました。

  • 大学を中退して就職する
  • 親から75万円借りて滞納分の支払いを済ませる
  • 時計は諦めてAさんと縁を切る

良い両親に恵まれていたおかげで、
私はこの後、
第二の人生を歩むことが出来ました。
もしもあの時否定されていたら、
自ら命を絶っていたかもしれません。

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毎月の支払いも以下のようになりました。

スクロールできます
75万円5万円/月
A社50万円1万円/月
B社30万円1万円/月
携帯代iphone×6台分(月4,000(2年分割)×6台分)2.4万円/月

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最終章 完済

こうして月の支払いが楽になったので、
昼のバイトを辞め、
毎月15万円程を返済に宛て、
1年程で無事完済することができました。

私の当時の返済の仕方も公開しますが、
無理していたため、
あまり参考にならないかもしれません。
くれぐれも真似はしないようにお願いします。

  • 食事は基本一日一食。ほとんどを賄いで済ませていたので食費はほぼ0円。
  • なるべく遊ばず無駄な出費ほぼなし。
  • 収入は昼バイト10万、夜バイト20万円程。
  • 大学は週三日しか行かず。
  • 余った分は全て返済に充てる

現在、あの時は想像も出来なかった程
安定した毎日を送っています。

苦しい経験を多々しましたが、
あまり後悔はしていません。

むしろ早い内にこのような経験が
出来たことは自分にとって
財産になったと思っています。

最後まで閲覧頂き、ありがとうございます!

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